GitLab に学ぶ 世界最先端のリモート組織の作り方: 感想
書評書籍情報
- GitLab に学ぶ 世界最先端のリモート組織の作り方
- 著者名: 千田和央(著) 伊藤俊廷 (監修) 佐々木直晴 (監修)
- 出版年: 2023 年 9 月 11 日 初版第 1 刷
- ページ数: 311
読書動機
書店を目的なく歩き回っていた際に平積みされた本が目に止まりました。
GitLab が世界中に従業員を持つリモート組織であることを聞いたことはありました。
表紙を見て、技術者が主体で作ったリモート組織とは、どのようなものか興味がわきました。
内容要約
- 本の概要: GitLab はオールリモート企業である。 その企業がいかに組織を発展させているか? について、記述されています。
- GitLab Handbook という、GitLab がネットに公開している GitLab の社内規則のような文書に則っています
主要なトピック/章
リモート組織のメリットを読み解く
リモート組織化は従業員にだけメリットがあるのではありません。
リモート組織化により、企業が得る、採用や従業員のパフォーマンス面でのメリットについて述べられています。
リモート組織化は、日常会話を同期コミュニケーションとすると、文書を主流とした非同期コミュニケーション化であり、コミュニケーションコストの削減にも効果があると述べられています。
世界最先端のリモート組織へ移行するためのプロセス
組織内の役職が上の者が積極的にリモートに移行し、意思決定がリモートで透明性を保ちながら行われることが重要であること。
また、リモートを前提とした組織を構築市、対面が特殊であることを意識付け、リモート従業員が不利益を被らない組織にすることが重要であると述べられています。
GitLab が実践するリモート組織を活性化させるカルチャー醸成方法
企業の Value は唱えるだけでは意味がありません。
Value の解像度を高め、value が保たれていない場合の対処方法も定める必要があります。
GitLab が成果を出すために実践している人事制度や業務ルール
人事評価制度についての解説。
ここは具体的な方法がイメージしづらいと感じました。
理解と学び
理解できたポイント:
- リモート組織化にあたり、ドキュメントを主体として、効率的なコミュニケーションを行うものの、雑談を重要なものと捉えていること。
- 連続した休暇を取らないことは俗人性を高め、「知的謙虚さに欠ける」とする精神。 素晴らしい。
学んだこと
- 誤解されない文章でのドキュメント化は大事。 今後の世の中を考えるとさらに重要度があがるように思う。
- 期限を決めて、期限内は続けるというのは実験的には素晴らしいように思う。 ただ、うまくできなかった際の、緊急脱出のような要素は必要だと思うが。
質問と疑問
理解が不十分な点
人事評価の部分については理解が浅い。
個人目標と、人事の評価が切り分けられているように感じたが、では人事評価は何をもとに行うのか?
Exceeding, Performing, Developing という枠組みはわかるのだが、その判断基準がわからない。
質問や疑問
非同期コミュニケーションとして、文書化に力を入れている。
実際、 GitLb Handbook を見ると文書化に力を入れていることが見て取れる。
ただ、仕事をしていて感じるのは、文書は想像以上に読まれないことです。
マニュアルのたぐいはまず読まれないものと考えなければなりません。
全体に従業員が文章を読むこと、論理的な結論に納得することを前提としているようで、採用段階でかなり絞り込む必要があるように感じました。
勘違いかもしれませんが、実現が難しそう。
次のステップ
興味を持った次の発展
- 個人の範囲内ではドキュメント化に非常に興味がある。
応用や実践のアイデア
GitLab Handbook に目を通す
読みやすさ評価
文体と構成:
- とてもプログラムのライブラリのドキュメントっぽさを感じた。読者として技術者を想定している?
- 図のキャプションが目立ちすぎで読みにくい。 ページを捲った際にキャプションがあると新しい節のように見える。
読みやすさ:
ある程度コードを書ける技術者が想定読者になっているように感じます。
issue や リクエストを小さくすることに言及されていることや、文書の形式からそのように感じました。
ドキュメントを読む人には読みやすいように思いますが、いきなりこの本を読むとそっけないと感じるように思います。 また、おそらく、ネット上にある GitLab Handbook にも目を通すとよい?